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法人携帯を導入する際、最も気になるのが「この費用は経費として処理できるのか?」という点です。
実際、通信費や端末代、利用に関する費用は経費として認められることが多いですが、処理方法や勘定科目を誤ると、税務調査で否認されるリスクもあります。
この記事では、法人携帯の費用を正しく経費で落とすための知識を、
「勘定科目の選び方」や「処理方法」、「よくあるNG例」も交えて、徹底的に解説します。
法人携帯は経費で処理できる?基本ルールを解説
法人携帯の費用を経費にできるかどうかは、使用目的と契約形態に大きく左右されます。
この章では、法人携帯の経費処理が認められるための基本ルールと、押さえるべき前提条件を解説します。
業務利用が明確であれば、通信費や端末代も経費として処理できますが、いくつかの注意点があります。
対象の費用 | 処理方法 | 主な勘定科目 |
---|---|---|
通話料・データ通信料 | 業務利用分を月ごとに計上 | 通信費 |
スマホ端末代(本体価格) | 購入方法・金額に応じて資産計上または費用処理 | 工具器具備品(固定資産)、リース料、通信費 |
社内共用端末の維持費 | 目的に応じて福利厚生費または雑費として処理 | 福利厚生費、雑費 |
👉ただし、「プライベートとの混在」や「名義が社員個人」などのケースでは、経費否認のリスクが発生します。
詳しくは「法人携帯はプライベート利用してもいい?私用混在による経費否認リスクと対策」の注意点をご覧ください。
勘定科目はどう分ける?通信費・リース料・福利厚生費の使い分け
法人携帯にかかる費用は、一律で「通信費」として処理されるわけではありません。
実際には端末の購入方法や利用目的により、適切な勘定科目が変わってきます。
この章では、「通信費」・「リース料」・「福利厚生費」など、実務でよく使われる勘定科目の使い分けを、表を用いてわかりやすく整理します。
支出の内容 | 主な勘定科目 | 備考 |
---|---|---|
月額基本料金、通話料、データ通信料 | 通信費 | 業務利用が前提 |
端末を一括購入(10万円以上) | 工具器具備品(固定資産) | 耐用年数2~4年で減価償却 |
端末を分割購入(リース契約) | リース料、通信費 | 月額リース料として処理 |
社内共用端末(休憩時の通話など) | 福利厚生費 | 使用目的の明確化が必要 |
👉詳細な勘定科目の使い分けについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「法人携帯の勘定科目は何?通信費・リース料・福利厚生費の使い分けガイド」をご覧ください。
経費として認められないケースとは?
法人携帯であっても、必ずしも全額が経費として認められるとは限りません。
特に私的利用が混在していたり、契約名義や支払いのルートが不適切な場合には、税務調査で経費否認の対象になることもあります。この章では、そうした「NGなケース」を事例を交えて紹介し、リスクを未然に防ぐヒントを提供します。
NGパターン | 具体的な内容 | 経費リスク |
---|---|---|
私用が中心 | 実際には業務利用がほとんどなく、プライベート用途が大半 | 否認されやすい |
業務用途の説明不可 | 社員個人が自由に利用し、どの業務に使ったか説明できない | 高リスク |
無関係なサービス課金 | ゲーム課金や動画視聴など、会社の業務と無関係な利用料 | 完全否認対象 |
契約・支払が個人名義 | 社員個人名義で契約、支払いも個人口座から行っている | 原則NG |
税務調査で否認されないためには、「業務との関連性を明確にすること」が非常に重要です。
実際の仕訳・処理例【法人携帯の経理処理パターン】
実際の経理処理にあたっては、仕訳の具体的な形式や処理方法を理解しておくことが重要です。
この章では、通信費として処理するケースや端末を固定資産として計上する場合、少額資産として即時償却する場合など、代表的なパターン別に仕訳例を紹介します。初めての方でもすぐに参考にできる内容です。
【例1】通信費として処理(キャリアからの請求)
借方:通信費 10,000円 貸方:普通預金 10,000円
【例2】端末購入費が10万円未満の場合(少額資産)
借方:通信費 30,000円 貸方:現金 30,000円
【例3】10万円以上の端末購入(固定資産・減価償却)
借方:工具器具備品 120,000円 貸方:未払金 120,000円
👉減価償却については、「固定資産管理台帳」をつける必要があります。
管理台帳運用に伴うテンプレートは「法人携帯の管理台帳テンプレート付き|経費処理をスムーズにする運用術」を参考にしてください。
税務調査で否認されないための注意点
経費処理の正確性だけでなく、「説明責任」を果たせる準備も重要です。
税務調査では、契約書や支払履歴、利用実態に関する記録などの提示を求められることがあります。
この章では、法人携帯を経費処理するうえでの実務的な注意点と、税務上の否認リスクを回避するための具体策について詳しく解説します。
項目 | 理由・目的 | ポイント |
---|---|---|
契約名義を法人に統一 | 税務上、業務利用の証明がしやすくなる | 契約書の名義は「法人名」に統一すること |
支払いを法人口座・法人カードから | 私的利用との線引きを明確にするため | 振込やクレジットカードは法人名義のものを使用 |
利用実態の記録を残す | 税務調査の際に業務使用の証明となる | 通話明細・業務日報・通信ログなどを保管 |
プライベート利用は原則禁止 | 私用割合が多いと経費否認リスクが高まる | どうしても必要な場合は按分計算を明示 |
👉法人携帯の経費削減については「法人携帯の通信費を経費削減!格安SIMや法人向けプランを活用する方法」をご覧ください。
スマホ端末の購入は経費?資産計上?
法人携帯の「本体代金」については、金額や購入方法によって経費処理ができる場合と、資産計上が必要な場合があります。
この章では、資産計上すべきか即時償却すべきかの判断基準や、減価償却の基本的な考え方についてわかりやすく解説します。実務で混乱しやすいポイントなので、丁寧に押さえておきましょう。
端末の購入金額 | 処理方法 | 勘定科目 | 備考 |
---|---|---|---|
10万円未満 | 少額資産として一括経費処理 | 通信費 または 消耗品費 | 即時償却が可能。耐用年数管理は不要。 |
10万円以上 | 固定資産として資産計上し、減価償却 | 工具器具備品 | 耐用年数(スマホは通常2~4年)で減価償却 |
最新のiPhoneなど、端末価格が高額化している今、資産計上が必要なケースも増えています。
👉法人携帯の経費処理でお困りの方は「法人携帯で節税はできる?正しい使い方とNG事例」をご覧ください。
法人携帯の経費処理についてよくある質問
法人携帯の経費処理について、実際に多くの方が疑問に感じるポイントを「よくある質問形式」で整理しました。
私用利用の按分方法、領収書がない場合の対処法、格安SIMの扱いなど、細かな疑問に対応しています。
経理担当者や個人事業主の方にとって、実務上の参考になる内容を厳選してお届けします。
- Q. 社員の私用通話も含まれているのですが、経費で落とせますか?
- A. 私用利用分は除外し、業務利用分のみ按分して経費処理してください。
- Q. 領収書がない月もあるのですが、どう対応すべき?
- A. キャリアの明細や請求書を印刷・保管しましょう。電子帳簿保存法にも対応が必要です。
- Q. 格安SIMに乗り換えても経費で落とせますか?
- A. 法人名義で業務利用していれば、キャリアに関わらず経費処理が可能です。
👉法人携帯の領収書・請求書の電子帳簿保存については「法人携帯の領収書・請求書の保存義務と注意点|電子帳簿保存法対応も解説」をご覧ください。
まとめ|法人携帯の経費処理は正確に・合理的に
法人携帯の経費処理においては、正確さと合理性が求められます。
このまとめでは、記事全体のポイントを再確認し、税務リスクを最小限にしながら、適切な処理で経費として認められるための要点を簡潔に整理しています。
最後にもう一度、正しい経費処理のステップをおさらいしましょう。。
- 費用の内容に応じて正しい勘定科目を選ぶ
- 業務利用の根拠を残す(記録・通話明細・台帳)
- スマホ端末の購入額により、資産計上か経費処理を判断