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BYOD(Bring Your Own Device)は、社員が自分の端末を使って働けるというメリットがある一方で、セキュリティや運用の面で多くの課題も抱えています。
実際に多くの企業が経験している「よくあるトラブル」と、それに対する「具体的な対策方法」を知ることが、BYOD成功の鍵です。
よくあるBYODトラブルとその対処法
企業がBYODを導入した際、どのようなトラブルが起こりやすいのでしょうか?
この章では、現場で実際に起きている5つの典型的なトラブルを紹介し、それぞれに対して企業が取るべき実践的な対処法を解説します。
トラブル①:端末の紛失・盗難による情報漏洩
外出中の社員がスマートフォンやPCを紛失したり、盗難に遭うケースは少なくありません。
業務データが端末に保存されていた場合、大規模な情報漏洩につながるリスクがあります。
- MDMの導入による遠隔ロック・データワイプ
- 画面ロック・生体認証の義務化
- 業務データは端末に保存せず、クラウド利用を徹底
トラブル②:業務データを個人アプリに保存
LINEや個人用クラウドストレージなど、私的に使っているアプリに業務データを保存することで、データの持ち出しや退職後の漏洩が発生する可能性があります。
- 業務データは企業アカウントのクラウドに限定
- 個人アプリ利用の禁止をポリシーに明記
- SSOやアクセスログで不正利用を可視化
トラブル③:家族や第三者が端末を操作
BYODでは、家族と端末を共有していたり、子どもが勝手に操作してしまうケースも。
第三者が業務データにアクセスするリスクを想定しなければなりません。
- 業務用アプリはMDMでコンテナ化
- MFA(多要素認証)の導入
- 本人専用端末の使用をルール化
トラブル④:公衆Wi-Fi経由でマルウェアに感染
空港やカフェなどの無料Wi-Fiは便利ですが、盗聴やマルウェア感染のリスクも。
安全な通信環境を確保する対策が欠かせません。
- VPNの利用義務化で通信を暗号化
- セキュリティソフトの常時有効化
- Wi-Fi利用時の注意点を教育で徹底
トラブル⑤:退職者が社内システムにアクセスし続ける
退職後も個人端末から社内システムへアクセスできてしまうと、重大な情報漏洩や不正利用につながるおそれがあります。
- SSOでID・認証を一元管理し、退職時に即時停止
- 退職時のMDMによるデータ削除
- アクセスログの定期監視
トラブルを未然に防ぐための5つの基本対策
BYODで発生するトラブルの多くは、適切な予防策を講じることで未然に防ぐことが可能です。
ここでは、導入前・運用中に取り組むべき5つの基本対策を紹介します。
対策項目 | 内容 |
---|---|
MDM導入 | 端末の制御、リモートワイプ、コンテナ分離などを可能に |
「SSO」と「MFA」 | ID管理と認証強化で不正アクセスを防止 |
社内ルール整備 | ポリシーや運用ルールを明文化し、全社員に周知 |
従業員教育 | 定期的なセキュリティ研修とマニュアルの整備 |
業務範囲の明確化 | 業務アプリ・サービスの利用範囲を限定・監視 |
まとめ|BYODの「自由」と「責任」を両立させるには
BYODを導入する企業が増える一方で、トラブルが発生してからでは遅いという現実もあります。
だからこそ、技術面と制度面の両面からリスクに備えることが不可欠です。
柔軟な働き方を支えるBYODを、安全に活用していくための土台を整えましょう。
👉BYODの導入をご検討の経営者またはご担当の方は、
「BYOD完全ガイド|企業が個人端末を安全に業務利用するための全知識」をご覧ください。