2025.07.09

法人携帯をやめてBYOD(個人端末利用)に切り替える場合の注意点

目次

法人携帯の廃止後、従業員の私物端末を業務利用するBYOD(Bring Your Own Device)を導入する企業が増えています。

しかし、利便性やコスト面でのメリットがある反面、情報漏洩・管理体制の不備・従業員トラブルといったリスクも潜んでいます。

本記事では、BYOD導入時に企業が絶対に押さえておくべきポイントを実務ベースで解説します。

BYOD導入前に決めるべき基本ポリシー

BYODは、私物を業務で使わせる以上、「使い方のルール」を明文化しなければなりません。

導入前に整備すべき基本ルールの例

  • 業務利用可能なアプリ・通信手段の指定(例:LINE禁止、Teams必須)
  • MDM(モバイルデバイス管理)やVPNの導入可否
  • 勤務時間外での業務連絡の扱い
  • 通信費・端末費用の補助方針(手当 or 経費精算)
  • 紛失・盗難時の報告義務と遠隔ロック・ワイプ対応

👉BYOD(個人端末利用)導入に伴う社内ルール作成については「BYOD運用ルール策定の決定版|情報漏洩・セキュリティリスクを防ぐ全手順」をご覧ください。

セキュリティ管理の不備が最大のリスク

法人携帯と異なり、私物端末は管理者権限を企業側が持ちません。
そのため次のようなセキュリティ対応が必要です。

  • MDMの導入:アプリ制限、遠隔ロック、初期化、位置情報管理を可能に
  • 業務アカウントと個人アカウントの分離:Google WorkspaceやMicrosoft 365のワークプロファイルを活用
  • 業務データはクラウド保存:端末にデータを残さない
  • パスコード・生体認証・自動ロックの強制

👉MDM導入をご検討の方は「MDM導入で法人携帯が変わる!コスト削減とセキュリティ強化の秘訣」をご覧ください。

コンプライアンス・労務トラブルの発生リスク

BYOD導入後に起きやすいトラブルとして、以下のような問題があります。

トラブルの種類 想定される問題 対策
通信費精算 従業員が「使いすぎた」と主張 月額固定手当を導入
勤務時間管理 プライベート時間にも通知が来る 勤務外利用禁止 or 通知オフ制御
端末破損・修理 業務で壊れた責任はどこに? 自己責任明記 or 一部補助

BYODと法人携帯の比較

比較項目 法人携帯 BYOD
導入コスト 月額数千円×人数分 通信手当で変動対応
セキュリティ管理 MDMで一元管理可能 制限あり。工夫が必要
プライバシー配慮 企業所有のため配慮少 私物なので要配慮
業務アプリの導入 制限なし 制限の可能性あり
トラブル時の責任 会社負担 境界が曖昧になりがち

👉BYODと法人携帯の比較については「BYODと法人携帯、失敗しない選択!コスト削減と生産性向上を実現する鍵」をご覧ください。

導入のベストプラクティス

  • MDM(例:Jamf、Intune、Optimal Biz)でセキュリティ制御
  • 通信手当を月額1,000〜3,000円で支給(領収書不要)
  • LINE WORKSやSlack、Google Workspaceなどのクラウド業務基盤を整備
  • ITヘルプデスクがBYOD端末の相談窓口を担当

まとめ:BYODは攻めのIT戦略、だが「無策」では危険

法人携帯をやめてBYODへ切り替えることは、コスト削減だけでなく、柔軟な働き方やIT投資への再配分として大きなメリットがあります。

しかし、何もルールを整備せずに進めてしまうと、情報漏洩・従業員とのトラブル・法的責任の不明確化といった企業リスクが跳ね上がります。

「コスト削減」よりも「信頼維持」と「リスク制御」を最優先に、慎重かつ丁寧に設計を行うことが、BYOD成功の鍵です。

👉法人携帯の解約に関する全体像や、違約金対策・社内手続きなどをまとめた総合ガイドは「法人携帯の解約完全ガイド」をご覧ください。